「高専」という選択が意味すること。
高専という選択をするとどんな良いことと悪いことがあるでしょうか。
良い点
良い点として真っ先に挙げられることは、16歳という早い時期から工学分野に特化した施設の整った恵まれた環境で、座学や実験実習科目を通じて工学を学ぶことができることでしょう。
また、高専の求人倍率30倍という数字は、高専以外の学校ではありえない数字であり、有利に就職活動を進めることが可能です。(※)
就職ではなく進学する場合も、大学共通テストを受ける必要が無く、理系の数科目を受験すれば国立大学に編入学するとが可能です。(※)
当然それ以外にも、高校3年間+大学2年間分の授業料に比べ高専の授業料は安く、また入寮をした場合も、下宿に比べて親の経済的負担は軽減されます。
悪い点
悪い面として第一に挙げたいことは、高専に入学してしまうと進路変更が困難若しくは不利になるということです。高専は大学共通テストを考慮しないカリキュラム構成となっていることから、高専2年次以降に大学共通テストを受けようと思っても、高校生に比べて不利になる場合があります。
(入学後の進路変更については次回詳しく解説します。)
また、高専生はレポートに忙しいです。これは裏を返せば実験実習科目が充実しているということにもなりますが、普通の高校生や大学生と比べてレポートに忙しい大変さがあります。
大学生に比べて高専生は英語力が劣っている傾向があることにも注意が必要です。高専では英語の授業が単位数的にたくさん組み込まれていますが、残念ながら高専生の英語力は低いと言われています。
自分で勉強し、TOEICや英検などを受験して、自らの努力で英語力を高める必要があります。
高専受験を考えましたか?
良い点や悪い点を見ていただき、あなたは高専を受験しようと思いましたか?
高専で勉強すれば、自分の興味のある分野を勉強できる!と思った人もいれば、まだ高専が自分に適しているか分からないという人もいると思います。
「高専に入学すると、進路変更が難しくなる」ということにだけはくれぐれも注意してほしいと思います。(詳しくは次回解説します。)
受験を考えたのなら今何をしていますか?
ここからは、「高専を受験しよう」と固く決心した人向けのお話です。
高専を受験するのなら、これから言う4つのことをやりましょう。
①高専について調べましょう・質問しましょう
家から近い3~4つ程度の高専を調べ、制度の違いや設備の違いなどを紙にまとめましょう。
国立高専であればどこの高専を受けても試験問題は共通ですし、授業料も共通ですし、国立高専には一般的に寮があるため、必ずしも家から一番近い高専を受験する必要はありません。
高専を見るときには、こんなところを重点的に見て比較すると良いと思います。
- 学科の勉強内容
- 先生の研究内容
- 学校の設備の充実さ
- 就職先・進学先一覧
- 入学後の学科選択制度の有無・転科制度の有無
- 部活動の活発さ
まずこの辺のことを調べましょう。
学校のホームページだけではわからないこともあると思います。学校の説明会に参加したり、もしわからないことがあれば、各学校の入試担当の先生や部署にメールを送って質問をすればよいと思います。親身に答えてくれると思います。
②受験する高専・学科を決めましょう
次に自分が、「ここの高専の、ここの学科に行きたい!!」という高専・学科があれば、その高専への受験の意思を中学校の先生に伝えましょう。また、受験関係の書類を取り寄せることも忘れないようにしてください。
もし、工学分野に興味はあり、高専にはいきたいと思ってるけど、まだどの学科が良いか決まってないという人は、2年時の進級時に学科を選択する学科選択制度がある高専を選択することや、電気部門と情報部門を融合したような学科を選択することを検討すると良いと思います。
受験する学科が決まったら、その学科について詳しく調べましょう。ほとんどの高専で各学科の良い所をアピールしている物がホームページに掲載されていると思いますので、それを参考すると良いと思います。
もし、分からないことがあれば、各学科の入試担当教員や、学科長にメールなどで問い合わせると良いと思います。
③過去問を手に入れましょう
推薦で受けるにせよ、学力で受けるにせよ、高専の過去問を手に入れておくとよいと思います。
高専の入試は、高校の入試と比べて少し特殊です。過去問を解いて高専の入試に慣れておきましょう。
全ての国立高専と一部の公立高専が共通の入試問題を使用しています。(一部高専で行われている再募集を受験する場合を除く。)
参考URL→国立高等専門学校 過去問題 【過去問6年分】(amazon)
④中学校の成績を上げておきましょう
各高専の入試制度が違うため一概には言えませんが、入試の合否判定に内申が加味されることが多いため、中学校における内申が高いに越したことはありません。
高専受験への勉強も大切ですが、中学のテストの勉強も抜かりが無いようにしておきましょう。
(おまけ)エビデンスを作っておきましょう
推薦面接を受ける人向けになりますが、面接でアピールできるエビデンスを作っておくと良いと思います。
例えば、回路を組んでこんなものを作ってみました!とか、プログラミングでこんなことを便利にしました!とか、LEGOを使ってロボットを作りました!とかですね。
各自治体や企業が実施するコンテストなどに応募して賞をもらっておくと、なお良いと思います。
私は高専に入りたいです!その証拠に中学時代は〇〇〇をやりました!と言えるようになっておけば、ほかの受験者との差別化を図れると思います。
寮の話
高専寮は、1年次は全寮制が敷かれていることが多いですが、2年次以降、希望をしても寮に入れない場合もあります。入寮希望者に対して寮の定員が少ない場合があるためです。
この場合、学校から家までの距離が遠い人が優先的に寮に入れる場合があります。(※)
→つまり、寮に関しては家から遠い高専に入った方が有利な場合があります。
前述しましたが、国立高専であれば、どの高専に入学しても、授業料や試験問題は共通ですし、国立高専ではモデルコアカリキュラムという制度があり、どの高専を卒業しても一定の能力が保障されています。
つまり、家に近い高専を必ずしも受験する必要はないです。自分に合ったカリキュラムのある高専を受験するとよいと思います。
まとめ
高専を受けるか否か。どの高専を受けるか、どの学科を受けるかという選択はとても大切です。
高専に一度入学してしまうと、途中での進路変更は困難若しくは不利なものになる場合が多いことを念頭に、本気で自分が進みたい道を選んで高専の学科を選択してほしいと思います。
(※)よく高専の求人倍率は30倍と言われていますが、実際は20倍くらいだったりする年もあったりします。20倍でも十分高いですが、正確な数字は各高専にお問い合わせください。
(※)一部大学では文系科目の受験科目が設けられている場合があります。
(※)自宅からの距離以外にも再入寮選考の判断基準が存在します。が、私の在籍する高専は自宅と高専との距離によって、ある程度、再入寮の可否が決まっています。
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